НИТЬ НИТЬ(ニーチ)は、写真を通して人との繋がりをつくっていこうという交流の場です。
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野澤 勝先生の現在の講師略歴

日本カメラフォトコンテスト・ビギナーズ部門審査員
百万人の写真ライフ・Q&A回答者
ペンタックス写真講座講師
早稲田情報ビジネス専門学校デジタル画像処理講師
VOL. 5
今回は以前受け取ったメールを紹介します。
【私は最近、写真を撮るようになりました。これはフイルムメーカーが雑誌広告でさかんにリバーサルフィルムの宣伝をしているのに乗せられたのと、知り合いがリバーサルのスライドを見せてくれて「あ、なんか楽しそう、私にもできるかな」と思ったのがきっかけです。リバーサルフィルムで撮る物珍しさに引かれて、最初はパシャパシャと何を撮っても楽しかったんですが、最近「なんかイマイチだなあ」と、自分の撮った写真を見て思うのです。
 私はいまコンパクトカメラを使っていますが、これを一眼レフに替えてみようかしらと軽く考えて、カメラ屋さんに行ってはみたものの、一眼レフなどに触ったこともない私は、カメラの洪水に飲み込まれて、まったくわけが分からなくなりました。ちょっといじくってみたのですが、ピントの合わせ方や、露出計の点滅など、もうなにがなんやら混乱してしまいました。
 まずカメラの種類がよくわからないんです。オートフォーカスとそうではないものとの2種類しかないと思っていたので、「絞り優先?、分割測光?」と尋ねられても、しどろもどろになってしまうのです。こんなずぶの素人でも、一眼レフを使えば少しはましな写真が撮れるようになるのでしょうか?】
 これは初心者の多くが感じる疑問ですね。そこで、その時の私の返事も紹介します。
 ピントも露出もカメラまかせで、シャッターさえ押せば写るのが今のカメラです。その簡易さが手放せずに、コンパクトから一眼レフに買い換えても、すべてカメラにお任せのプログラムオートで撮るのなら、今までと変わりません。一眼レフを使うということは、絞りやシャッタースピードを撮影意図に合わせて自由にコントロールして写すということであり、それができてこそ一眼レフを使う意味があるのです。言い換えれば、同じ被写体でも絞りやシャッタースピードを変えるだけで、全く違った写真になるということです。つまり、一眼レフはコンパクトとは全く違う表現領域を持つカメラなのです。店員が「絞り優先オート」とか「分割測光」と聞いたのは、それをやさしく使えるようにした機能のことなのです。したがって一眼レフを使うには、カメラに搭載されている機能を理解することは勿論のこと、絞りとシャッタースピードの関係や、被写界深度などの写真基礎知識は知っておく必要があります。
 では、写真の基礎知識を理解すれば、思い通りの写真が撮れるようになるのでしょうか。私の娘は約10年ピアノを習っていて楽譜はだいたい読めます。しかし、曲を弾かせると音楽にはなっていません。これと写真も同じで、基礎知識を理解していても、それだけではすぐれた写真を得ることは難しいのです。
 あなたが写真を撮りたい(作品として)と思うのは、被写体から何かを感じたからですよね。その感じたことが、写真から伝わってくるように写さなければならないのです。そこで「写真の狙いを明確に」とか「画面構成を考えてフレーミングしなさい」などの写し方アドバイスを耳にすることになります。
 感じたことを写真で表現することの難しさは、誰もが感じるし、悩みます。だが、写し方に決まりがあるわけではないので、その答えは自分で見つけ出すしかないのです。いや、答えなどというものはなく、自分が最良と感じられる写真を写す努力をするしかないのです。ただ、写真上達の近道があるとすれば、それは数多く写すことです。フィルム消費量と上達速度は比例します。それと、シャッターを押した全ての写真が傑作でありたいと思わないこと。漫然とではなく、時間をかけてしっかりと被写体を見ること。被写体を、これ以上写しようがないところまで撮り込むこと。その努力を続ければいつかは必ず素晴らしい作品が撮れるようになります。
2003.2.20


VOL. 4
ニーチのみなさん新年おめでとうございます。
また、昨年末にWebデザインがリニューアルされ、今年も活発に活動しようとするみなさんの熱意が画面から伝わってきます。
そうした中でこのページだけは、当初の約束に反して原稿の追加もなく停滞したままなのは、すべて私の責任であると深く反省しています。
そこで今年からは毎月、必ず何か書かなければいけないと思っているんですよね。
そうは言っても書くことが大の苦手なので、以前カメラ誌のコンテスト総評で書いたことや、カメラ/フィルムメーカーのセミナーで述べた内容に加筆したものをアップすることにしました。
なお、ここで書くことは私の個人的な写真に対する思いや意見ですから、みなさんが読んだとき、疑問や反論も当然あってしかるべきだと思っています。
そう感じたときはあなたの意見をぜひ聞かせてくださいね。一方通行にならないことがこのページを長続きさせることになるのではないかと思っているし、写真に関する質問も歓迎します。

では今年もよろしくお願いいたします。
2003.1.8


VOL. 3 心で感じたものを写す
他人の評価など気にせず好き勝手に写せばいいんだろうか?と言うのが今月のテーマですが、その前に話しておくべき大事なことを忘れていたので、まずはその話をします。
昔は、ピントや露出が合った写真を撮るだけでも大変なことで高度な技術を要したものですが、カメラの進歩によって今はすべてが自動化され、写真の知識が無くても簡単に写る時代です。それなのに、何で写真雑誌を読んだり、教室に通って写真を学ぶ人たちがいるのでしょうか。
それは、ただシャッターを押すだけでは、自分の気持ちが写真の中に反映されないと感じるからではないでしょうか。カメラは目の前にある現象を正確に記録する道具ですが、ニーチのみなさんが目的としているのは作品(自己表現)ですから、見たことを機械(カメラ)に任せて、ただ記録しようとしているのではなく、心で感じたことを映像で表現するためにカメラを使っているのです。でもそれが、なかなか難しい事なのです。
「どこどこへ行ったら、こういう景色がありました」と説明する写真なら子供にだって撮れます。でもそうした写真は「嘘偽りなくそこに行き、自分のカメラで写してきたものですよ」という証拠写真ですから、作品(自己表現)とは言いません。「景色を見て、私はこう感じました」という写し方をしたものを作品と言います。つまり作品とは、見たものを写すのではなく、心で感じたものを写すものなのです。
“心で感じたものを写す”と言われても、どうしていいのかわからない。大方の人たちがそう感じるのは当然ですし、だからこそ本を読んだり教室に通って学ぶ訳なのです。
絵や音楽でも、好き嫌いがみんなあるよね。それと同じように写真(作品)も芸術と考えれば、芸術は自己表現と言えるから、見聞きする側に好みがあるのは当然のことなんだ。だから、たとえ高名なプロカメラマンや写真評論家であっても、他人の作品に不偏的評価を下すことなど有り得ないのです。つまり、数式ならその答えは絶対だが、芸術表現に不偏的な評価などできないということで、好き嫌いは言えても、良し悪しの判断など誰もできないと言うことなのだ。それなら、他人の評価など気にせず、好き勝手に写せばいいんだろうか? 誰にも理解されない写真を僕は「独り言写真」と呼んでいるんだけれど、それは次回話すことにしましょう。


VOL. 2 写真の評価とは…?
自分は気に入っているのに他人は評価してくれない写真って、誰もが経験あると思うんだ。そんなとき、あなたはどうする? 自分は素人だからしょうがないと諦めるか、または、こんな素晴らしい写真なのに、見る目がないやつだと、相手の感性を切り捨てるんだろうか。…今月はそのことを話題にしたいと思います。
僕はカメラ雑誌の写真コンテスト審査員をしているので(日本カメラ・ビギナーズ部門、フォトテクニック・ファミリー写真部門)、毎月1000枚以上の応募作品を見て、その中から僅か数10点を入選作品として選ぶんだけど、応募する人たちはみんな自信作と思うから送ってくるんだよね。だから選外になった人たちは「なぜ?」と思うのは当然だし、「この審査員はおかしいんじゃないの?」と言われることもあるだろうね。
でも立ち場を変えて考えてみて欲しい。送られてきた写真がどんなに素晴らしいものであっても、審査する側の限られた感性の中でしか評価できないのだから、理解できない写真があるのは当たり前のことなんだ。
絵や音楽でも、好き嫌いがみんなあるよね。それと同じように写真(作品)も芸術と考えれば、芸術は自己表現と言えるから、見聞きする側に好みがあるのは当然のことなんだ。だから、たとえ高名なプロカメラマンや写真評論家であっても、他人の作品に不偏的評価を下すことなど有り得ないのです。つまり、数式ならその答えは絶対だが、芸術表現に不偏的な評価などできないということで、好き嫌いは言えても、良し悪しの判断など誰もできないと言うことなのだ。それなら、他人の評価など気にせず、好き勝手に写せばいいんだろうか? 誰にも理解されない写真を僕は「独り言写真」と呼んでいるんだけれど、それは次回話すことにしましょう。


VOL. 1 写し方に決まりはない
「写真を上手に写すコツを教えて下さい」
アマチュアカメラマンの写真講座で、時々こう聞かれることがあります。
そう言う人たちは、写真の撮り方に秘訣や決まりがあると思っているようです。
でも、写真の撮り方に、決まった作法や方法論などありません。
写したいと思うのは、あなたの感性を刺激する何かが目の前にあるからで、それは、あくまでも個人的な感情から発生した撮影動機なのです。ですから、他人に理解してもらおうとか、誉められようとする感情を持って写すのはいいことではありません。 他人に理解してもらおうとする気持ちが強いと表現が説明的になり、結果として表現形式だけを整えた、つまらない写真になります。
写真(作品)とは、見たものを正確に記録するために写すのではなく、心の中の感じたことを自由に表現することなのです。


 
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